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> 昆虫など持ち出してもしょうがないですよ。
> レイノルズ数の使い方があまりよくない。
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> レイノルズ数とは、慣性と粘性との比によって、流れの相似性をたしかめる物差しのようなものです。
> 同じレイノルズ数なら、同じような流れ方をする。
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> 零戦勉強中さんが書いていらっしゃるように、航空機のレイノルズ数は昆虫よりはるかに大きい。
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> 昆虫を基準に航空機を論じても無意味だと思います。
私は昆虫の飛行ですら慣性力が粘性力の1000倍前後あるという例を提示したでけであり、昆虫を基準に航空機を論じてなどいないのですが、私の書き込みのどこからそのように読み取ったのでしょうか。
また、
「レイノルズ数の使い方があまりよくない。レイノルズ数とは、慣性と粘性の比によって、流れの相似性をたしかめる物差しのようなものです。」
と書かれていますが、なぜレイノルズ数がそのような使い方ができるかの物理的背景について調べられたことはお有りでしょうか。
粘性流体の運動方程式であるNavier-Stokesの方程式は、
ρDu/Dt=ρF-gradp+μΔu
のように表すことができます。
このうち、左辺が慣性力であり、流れの代表スケールをL、代表速度をUとすると、
およそρU^2/Lのオーダーと見積もることができます。一方、右辺第3項は粘性力で、およそμU/L^2のオーダーと見積もることができます。したがって、慣性力と粘性力の比が
(ρU^2/L)/(μU/L^2)=ρUL/μ=Re
となり、レイノルズ数は慣性力と粘性力の比であると解釈できるわけです。
このため、例えば、レイノルズ数が1万だとすると、慣性力が粘性力の1万倍であるということができるわけです。
また、代表速度Uと代表長さLを用いてNavier-Stokes方程式を無次元化すると、
Du'/Dt'=grad'p'+Δ'u'/Re
となり(’付きは無次元化した物理量及び演算子、外力は保存力と仮定しpに繰り込み)となり、密度や粘性が異なる流体であっても、レイノルズ数が同じであれば同様の流れとなる、というレイノルズの相似則が得られるわけですね。
> 飛行機に作用する粘性力の影響は極めて大きい。
> 飛行機の全抗力に対する粘性摩擦力の割合は60%内外ですよ。
> 粘性の影響があるから、翼の誘導抵抗が生じて問題になる。
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飛行機の全抗力に対する粘性摩擦の割合が大きいのは、機体の流線型化が進んで表面摩擦抗力以外の抗力が減少したためです。初期の複葉機などでは支柱や張線による形状抗力(圧力抵抗)の方が大きな割合を占めていますね。
また、誘導抗力は「翼端渦によって誘導される速度場によって発生する抗力」ですよ。非粘性流体の理論でも三次元翼であれば誘導抗力は発生します。
> 飛行機は高速で飛ぶし、船は浮かぶ水の粘性が大きいから、うまくいかないところがでてくるんですよ。
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> 高速Uで飛ぶから、大気との剪断で生じる応力
> τ=μ∂U/∂x
> は極めて大きい。
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τ=μ∂U/∂xだけを考えても無意味です。上でも書いたように、粘性力が速度に比例して増加するのに対し、慣性力は速度の2乗に比例して増加します。したがって、速度が増加すればするほど慣性力の影響が増加するんです。
> それで、ヘルムホルツの定理を厳密に適用するなら、成田を飛び立った飛行機の出発渦は、12時間後にJFKに着陸するまで、成田の滑走路に同じ角運動量で存在し続けるはずだが、実際にはそうではない。
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私は、「飛行機が動き出した直後には出発渦があるが、時間経過と共に次第に減衰する。だが、機体の後方の一定距離に渡って翼端渦の影響は残る」と書いているのであり、永遠に残り続けるとは書いていませんよ。
> > > それで、束縛渦と翼端渦と出発渦(後縁渦?)が、つながって、閉じた渦輪になるかどうか、これは現代でも意見が分かれていると思います。
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> それはかなり怪しい。
> 翼端渦と出発渦は見分けがつかないから。
> 出発渦だと思っていても、翼端渦の可能性が大きい。
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どこまでが出発渦で、どこからが翼端渦か、という点は本質的な問題ではありません。重要なのは、機体が動きだした直後には機体の後方に繋がった渦が存在している、という点です。
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> だいいち、ヘルムホルツの定理に従えば、翼端渦の境界条件は無限遠でもよい。
> 出発渦とつながって渦輪vortex ringにならなくてもいいのですよ。
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無限遠まで範囲を広げられるということと、渦が繋がっていなくてもいい、ということはイコールではありません。
> > また、出発渦や機体の遥か後方での翼端渦の減衰も、粘性によって緩やかに減衰するというわけではなく、まず左右の翼端渦の干渉によって波状変形を起こし(Crowの不安定性と呼ばれています)、切りつなぎによって渦輪を形成したりなど、様々な形状に変形しながらより小さなスケールの渦になって行きます。冬場に飛行機雲を見ているとこのような変形過程が見られる時もあります。
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> Crowの不安定は、航空機では、滅多に問題にはならない。
> それほどアスペクト比の小さな翼は、飛行機にはあまり用いられないし、胴体のない場合でなければありえないから。
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現実に問題になっていますね。1970年代、飛行場での発着間隔短縮のために出発渦や翼端渦の影響がどの程度で減衰するかという点に着目した研究がボーイング社の旗振りで多数実行され、Crowの不安定性などの渦の変形や崩壊のメカニズムについて研究が行われています。また、アスペクト比の大小や胴体の有無は機体の後方の翼端渦を考えるにあたって本質的な問題ではありません。
> それは、渦のカスケード現象として、乱流を扱う人にはよく知られているところですね。
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そうです。私自身も乱流の研究で飯を食っています。
> > しかし、一般には航空機周辺部ではほぼ非粘性流体の力学で扱える程度にはその影響は小さく、翼端渦も機体サイズの数十〜数百倍に渡って後方まで延びていますね。
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> 翼端渦は、後方まで伸びているようにみえますが、後方での角運動量は非常に小さく、微小なトレーサーを動かす程度のエネルギーしか持っていない。
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その根拠はなんでしょうか。
> 翼端渦が、それほど周囲に影響の大きいものなら、編隊飛行や編隊での離着陸など、できないはずです。
> 翼端が1m以下の編隊だってまれでは無い。
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> 翼端渦はその飛行機自体に及ぼす以外の影響は、ほとんど考えられない。
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数km前方を飛ぶ大型旅客機の翼端渦に巻き込まれ、後方の小型機が墜落したという事故がありますね。また編隊飛行や編隊での離着陸でも多くは機体一つ分前後の距離は置いており、真後ろに位置することは避ける場合が多いです。なにより、このような飛行にはそれなり以上の技量が必要ですね。
また、翼端が1m以下の編隊を組むのはアクロバットチームなどの極めて一部の事例であり、高度な技量を持つパイロットですらも相当に神経を使う飛行技術です。
> ヘルムホルツの貢献は大きいが、「渦の不生不滅」というひじょうに大きな仮定を置いています。
ヘルムホルツの定理では、「渦の不生不滅」は仮定ではなく、非粘性流体という仮定で渦の形状を求める際に現れる結果です。
あまりこういうことは言いたくありませんが、じゃまさんの流体力学の知識にはいろいろな箇所で誤解があります(流体力学を学んだ経験はおありのようですが)。
この議論も他の方々が見ていてあまり面白いものではないでしょうし、ここらで終了としてはいかがでしょうか。
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