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> しかし、実際の流体では、動粘性νがゼロではないから、式(2)で、大気と渦の摩擦で渦の強さは減少して、循環Γはゼロになります。
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> 渦は、翼の表面との摩擦で生じて、大気との摩擦で無くなると思います。
この点については同意します(厳密には”粘性摩擦”と呼ぶ方がいいかも知れませんが”)。
しかし、慣性力と粘性力の比であるレイノルズ数(慣性力/粘性力)を考えると、昆虫の飛行ですら1000以上、航空機の世界では数十万から数百万のオーダーとなります。つまり、渦を消そうとする粘性力の作用は極めて小さいんです。
このため、ヘルムホルツの定理を含む非粘性流体の力学は近似式としてそう悪くないものになるんですね。
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> それで、束縛渦と翼端渦と出発渦(後縁渦?)が、つながって、閉じた渦輪になるかどうか、これは現代でも意見が分かれていると思います。
これは別に意見が分かれているという事実はありません。
飛行機が動き出した直後には、停止していた位置に出発渦が残り、翼端渦と束縛渦(=飛行機の翼)につながっていますが、しだいに出発渦が減衰して消えていくというだけのことです。霧雨の振る日などに飛行機の離陸を見ていると、運がよければ出発渦をみることができますよ。
また、出発渦や機体の遥か後方での翼端渦の減衰も、粘性によって緩やかに減衰するというわけではなく、まず左右の翼端渦の干渉によって波状変形を起こし(Crowの不安定性と呼ばれています)、切りつなぎによって渦輪を形成したりなど、様々な形状に変形しながらより小さなスケールの渦になって行きます。冬場に飛行機雲を見ているとこのような変形過程が見られる時もあります。
渦にはこれ以外にも、Kelvin-HelmHoltzの不安定性と呼ばれる現象により渦の表面上から細かな渦が発生するという変化も知られています。
これらの現象により、翼端渦は次第に小さなスケールの渦へと分裂を繰り返し、それに伴って粘性の影響が増大し、消滅に至ります。
しかし、一般には航空機周辺部ではほぼ非粘性流体の力学で扱える程度にはその影響は小さく、翼端渦も機体サイズの数十〜数百倍に渡って後方まで延びていますね。
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