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> 世傑P-39によるとX-608の要求仕様は最高速度360mph/2万ft、290mph/海面、上昇力2万ftまで6分、航続力2万ftで巡航1時間、離着陸距離2200ft/安全高度15ft、の条件を満たす高高度迎撃戦闘機ということです。
> 私も原文は読んでいませんがX-609は中低高度用単発戦闘機とされています。
Birch Mattews 著 "Cobra! Bell Aircraft Corporation 1934-1946" Schiffer Military History 刊によると、P-39 試作の経緯はおおむね次のようになります。
1936/5 米陸軍で新戦闘機の検討開始。最高速度325mph/20000ft, 275mph/Sea Level, 航続力 1 時間/20000ft, 上昇力 5 分 / 20000ft, 離着陸距離 1500ft。
1936/11 航続性能 2 時間, 上昇力 7 分に改定。
1936/11 航続性能 1 時間, 最高速度 360mph, 上昇力 6 分, 離着陸距離 1400ft に再び改定。
1937/2 検討結果をベースとして双発迎撃機要求仕様 X-608 の開示。
1937/3 一ヶ月遅れて単発迎撃機要求仕様 X-609 の開示。
1937/8 X-609 に応えてベル社は Model3, Model4 を提案。Model4(後の XP-39)推算性能は 330mph/Sea Level, 400mph/20000ft。
1939/4 XP-39 初飛行。最高速度は 375mph/20000ft にとどまる。
1939/5 XP-39 性能不振について NACA での解析が始まる。NACA では狭い胴体に詰め込まれた湾曲したダクト類の配管、とりわけインタークーラーの低効率を指摘、ターボ過給器の撤去を推奨する。これにより最高速度 429mph に達するとの推算。
1939/9 ターボを撤去した XP-39B の製作開始。
1939/11 XP-39B 初飛行。速度性能は XP-39 より悪化し 375mph/15000ft にとどまる。性能不振対策としてアリソン社に過給ギヤ比を 8.8 から 9.6 に上げた「高空型」エンジン(後の V-1710-35)開発が要請されると同時に、P-39 に対する要求仕様 C-616 の最高速度条件が高度 20000ft から 15000ft に緩和される。
このような経緯を見る限り、X-608 が最初から「中高度用」として発注されたとは私には考えにくいです。「X-608 は中高度用」という記述は、XP-39B の性能不振発覚後に現状是認のかたちで改められた「高度 15000ft」という条件が誤解されて伝わったものではないでしょうか。
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