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ベスト・アンド・ブライテスト再び ダッチ・カイザー 14/6/19(木) 23:23
┣ Re:ベスト・アンド・ブライテスト再び 出沼ひさし 14/6/21(土) 10:45
┣ アメリカは損していない じゃま 14/6/21(土) 11:27
┣ 正解≠最良解 おうる 14/6/21(土) 14:35
┗ ジャニスの研究書などはいかがでしょうか TMT 14/7/7(月) 5:22
┗ 「みんなの意見は案外正しい」 じゃま 14/7/8(火) 7:40

ベスト・アンド・ブライテスト再び
 ダッチ・カイザー  - 14/6/19(木) 23:23 -
  
イラクでのISISの攻勢によるイラク情勢の変化に衝撃を受けました。米軍撤退による治安維持の「イラク化」が進められる中で、こんなことになると予想していた方々はいましたか。私は予想だにしていませんでした。イラク政府軍の敗走や降伏はさながらバティスタや南ベトナム軍の敗北を連想してしまいます。

ベトナム戦争を主導したアメリカ政府の「ベスト・アンド・ブライテスト(最良かつ頭脳明晰な人々)」が泥沼に陥ったように、ブッシュ・オバマ両政権下でイラク戦争で次の世代の「ベスト・アンド・ブライテスト」が同じ失敗をしつつあります。
ラムズフェルドの「小さな足跡」作戦が電撃的勝利を得て、ペトレアスの「交番」戦術が治安の改善に一定の効果を見せるなどアメリカは決してバカな組織ではありません。しかし、アイビーリーグ出身のエリートを山ほど抱える合衆国政府はイラクの泥沼を解決できていません。アメリカ政府の政策決定や戦略構想の何がまずかったか、なぜ「正しい」解決案は出てこなかったのかと疑問に思います。皆さんはどう思いますか。

また集団的自衛権の問題から考えれば日本にとっても他人事ではありません。たとえ自衛隊が最強であろうとも「ベスト・アンド・ブライテスト」の政策決定や戦略構想の匙加減一つで取り返しのつかないことが起きるかもしれません。日本政府は有事の際に「正しい」解決策を採用できるのでしょうか。
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Re:ベスト・アンド・ブライテスト再び
 出沼ひさし  - 14/6/21(土) 10:45 -
  
> 「ベスト・アンド・ブライテスト(最良かつ頭脳明晰な人々)」
優秀な人を集めれば優秀な組織が出来るわけではありません。
知能的には凡庸でも組織内で重要な働きをなす人もいます。
また優秀な人たちが常に正しい判断をするわけではありません。


>「正しい」解決案
全ての問題に対して「正しい」解決案がある。
この前提を疑ってみませんか?
「正解」の存在しない問題も多いし、それがあったとしても「人の数だけ正解がある」こともあります。
引用なし
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アメリカは損していない
 じゃま  - 14/6/21(土) 11:27 -
  
> イラクでのISISの攻勢によるイラク情勢の変化に衝撃を受けました。米軍撤退による治安維持の「イラク化」が進められる中で、こんなことになると予想していた方々はいましたか。私は予想だにしていませんでした。イラク政府軍の敗走や降伏はさながらバティスタや南ベトナム軍の敗北を連想してしまいます。
>
> ベトナム戦争を主導したアメリカ政府の「ベスト・アンド・ブライテスト(最良かつ頭脳明晰な人々)」が泥沼に陥ったように、ブッシュ・オバマ両政権下でイラク戦争で次の世代の「ベスト・アンド・ブライテスト」が同じ失敗をしつつあります。

当時は補佐官だったキッシンジャーは、「あらゆる人々が、完全に合理的に動いた結果、とてつもなく複雑な問題をつくりだしてしまった」
と回顧していますね。
政治的、軍事的には、確かに失敗だった。

> ラムズフェルドの「小さな足跡」作戦が電撃的勝利を得て、ペトレアスの「交番」戦術が治安の改善に一定の効果を見せるなど

アメリカはあまり損していないと思います。
戦争をやれば、大量の兵器や軍需品が必要になって、巨大な需要が生まれる。
ロッキードやボーイングやコルトやゼネラルエレクトリックといった、兵器産業からの税収が増えて、財政改善に貢献している。

国債を大量に発行したために、フォートノックスの金塊ではドルの価値が担保できなくなって、世界的な大インフレーションに突入したのはご承知のとおりです。

トイレットペーパーの買いだめとか、まあ大騒ぎだったけれど、アメリカから流出したドルは、先進国がアメリカ国債を買い取ることで解決してしまった。

アーリントン墓地で涙する母親の姿は印象的だけれど、「人」は結局、補充可能な要素なので、アメリカは先進国で最も人口増加率が高い。

深刻なのは、高額になった工業製品を輸入しなければならない途上国だけで、さらに貧困が進んだけれど、先進国の知ったことではない。

WW2で膨れ上がったアメリカの産軍共同体は、常に戦争を欲しているのではないでしょうか。
世界のどこかで紛争が起きると、すかさずロビイストが動き、議会が動き、アメリカ政府が介入して武器を供給する。

> また集団的自衛権の問題から考えれば日本にとっても他人事ではありません。たとえ自衛隊が最強であろうとも「ベスト・アンド・ブライテスト」の政策決定や戦略構想の匙加減一つで取り返しのつかないことが起きるかもしれません。日本政府は有事の際に「正しい」解決策を採用できるのでしょうか。

アメリカが日本に期待するのは、ちゃちな自衛隊の派遣などより、中国以上にアメリカ国債を買い、アップルのデジタルガジェットを輸入してくれることではないでしょうか。
引用なし
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正解≠最良解
 おうる  - 14/6/21(土) 14:35 -
  
>アメリカ政府の政策決定や戦略構想の何がまずかったか、なぜ「正しい」解決案は出てこなかったのかと疑問に思います。皆さんはどう思いますか。

 自分たちの考えは最も合理的で正しい。正しいのだからその考えを理解してもらえれば賛同してもらえるはずだ。みんなに賛同してもらえれば必ず成功するはずだ。

 頭のいい人が、そしてアメリカ人が最も嵌り易い罠です。

 しかし、正解=最良解ではありません。
 理論的にどれだけ正しい理屈であっても、それがどれだけ合理的であっても、最も効率の良くゴールに最短ルートでたどりつける「正解」であっても、残念ながらそれがベストではないことはよくあることです。

 忘れてはいけないのは、政治の本質は理論ではなく感情にあるということです。
 
 理論的に正しい最適解であっても、国民が心情的に受け付けられない政策は必ず失敗します。そして、感情は理屈で割り切れるものではないのです。常に不条理で非合理的で無駄な紆余曲折を強要します。
 合理的に考える癖がついてしまっていると、そんな些末な問題は一時我慢してくれれば状況は絶対に今より良くできると理解しているのですが、当事者にとってそういった理屈はたとえ頭の中で理解できていたとしても自身の尊厳を軽視した傲慢な考えにしか見えません。
 人間の尊厳は突き詰めてしまえば当人の感情が尊重されるかどうかという問題でしかないのです。そして、自身の尊厳が軽視されたとき、人は否定的感情を抱かずにはいられません。

 だから、こと政治に限って言えば、「正解」は「最良解」ではありません。
 むしろ「正解は最良解になれない」と言った方がいいかもしれません。
 特に文化や宗教の異なる世界においては尚更です。

 統治の基本はまず人民を安心させること、そして人民の感情を尊重すること、効率を追求していいのはその後です。
 しかし、頭のいい人は自分の正しさに自信を持っているがゆえに、この優先順位を真逆にしてしまいがちです。実績を見せれば納得するはずだと、心のどこかで傲慢に思っていたりすると態度がどうしても独善的になり、実績を見せる前に見放されて失敗してしまいやすいのです。
 米国はよくこの手の失敗をしますね。

 「パンとサーカス」によるガス抜きが有効なのですが、対局と言って良いほど文化的に異なる米国とイスラム圏では提供できるものが限られ、難しいものがあります。


> 日本政府は有事の際に「正しい」解決策を採用できるのでしょうか。

 政治の世界では「正解≠最良解」である以上、文化や宗教の異なる世界で「正しい解決策」を模索し続ける限り必ず失敗します。
 ただ、空気を読んで周囲に合わせることが得意なステレオタイプ的な日本人なら、こういう正解のない問題は最も得意かもしれませんね(私は全く不得手ですが)。
引用なし
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ジャニスの研究書などはいかがでしょうか
 TMT  - 14/7/7(月) 5:22 -
  
TMTと申します。

社会科学研究が熱心に行われている米国では、ご存知のとおり
ダッチ・カイザー様の疑問にまつわる研究がおこなわれています。

最近の意思決定ではなく、ケネディ政権時のキューバ侵攻時ですが、
英書になりますけれど、心理学者ジャニスの"Groupthink:
Psychological Studies of Policy Decisions and Fiascoes."
(ジャニスの日本語の訳書で近いのは『リーダーが決断する時:
危機管理と意思決定について』くらいでしょうか)のなかで、
なぜ、優れた知性を持っている筈の人たちが、集団で検討したうえで、
残念な結果に終わる意思決定に至ったのかを心理的相互作用から
分析しています。いわゆる「集団浅慮」です。

逆に、同じメンバーがキューバ危機の際には、
ある程度の成果を得たというのも好対照にされていたかと思います。
これらの題材は、政治学や経営学にまたがる意思決定論で
よく取り上げられ、MBA課程でのケース教材にもなっています。

やや題材が異なりますが、NASAによるチャレンジャー号事故に至る
意思決定のメカニズムも参考になるかと私は考えます。
英書になりますが、興味深く斜め読みさせていただきました。
Vaughan(1996)"The Challenger Launch Decision."

我が国組織の意思決定にまつわる研究では、
戸部他『失敗の本質』程度しか思いつかないのですが、
日本企業に働く者が「そうそう」と思いやすい結論ではあるものの、
そこに至る分析が上記研究書に比較して、あまりに情緒的・
物語的すぎる、と考えます。

むしろ、「合理的な意思決定」は難しく、我々はいかに
直感に左右されているかという研究も興味深いかもしれません。
英書ですが、Kahneman&Tversky(1982)"Judgment Under Uncertainty:
Heuristics and Biases."
日本語で類似内容のものは印南『すぐれた意思決定』
『すぐれた組織の意思決定』でしょうか。

ハルバースタム『ベスト&ブライテスト』を積んでいるだけで
いまだ読んでいない私がご案内申し上げるのも恐縮ですし、
本件のご案内内容をすでにご存知の方も多いと思いますが、
以上、何かのご参考になれば幸いです。
引用なし
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「みんなの意見は案外正しい」
 じゃま  - 14/7/8(火) 7:40 -
  
ジャニスと聞いて、なんでウッドストックフェスティバルなのかと思いました。

相変わらず阿呆でございます。

ジェームズ・スロウィッキーという人が"The Wisdom of Crowds: Why the Many Are Smarter Than the Few and How Collective Wisdom Shapes Business, Economies, Societies and Nations"
という長ったらしい題名の本を書いていまして、角川から邦訳もでています。

卓越した知識を有する専門家集団より、そのへんにいるあんちゃんや、オバサンやおっさんの雑多な寄せ集めの方が案外正しい結論を導ける、という内容です。

ご紹介いただいたジャニスの本と見て、くらべてみるとおもしろそうです。
ジャニスの本はめちゃ難しそうですが?
引用なし
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