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> 仮に航空戦力の合理化を目的に統合空軍を健軍するとなれば、航空メーカーを統廃合して企業数を半減させる必要が出てくるでしょう。
昭和12年に戦争が始まって、長期化が確定的となってきた13年後半には、国家総動員法を根拠にした産業統制が航空機メーカーの上に行われています。
まず、航空機製造事業法により、航空機製造事業への新規参入は禁止されてメーカーの乱立が防がれ、既存のメーカーに対しても業種を制限する事業整理が行われています。
このとき、例えば三菱重工や中島飛行機の許可業種は「飛行機組立」「機体製造」「発動機組立製造」として指定され、「プロペラ製造事業」は不許可となっています。
愛知時計電機は化学部門を充実させて航空機用塗料の製造に乗り出そうとしていましたが、これも統制により辞めさせられています。
一方で、囲い込んで残した「飛行機組立」や「発動機組立製造」の指定会社に対しては、拡充示達よって工場の建設が命令されてゆきます。このため、官設で新工場がどんどん建設されて民間に与えられ、これを運転してゆく各企業には強制融資が行われています。
既存の企業の生産力、すなわち生産ラインの数だけでは、陸海軍が要求する飛行機の生産は決定的に実現不可能だったのです。
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